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リアス・バイシャスという土地について
スペイン北西部、大西洋に面したガリシア州。複雑に入り組んだ海岸線を持つこの地形こそ、日本語の「リアス式海岸」という言葉の語源になった「リアス・バイシャス(Rías Baixas=下流の入り江)」です。夏は涼しく、冬も凍えるほど冷え込まない、一年を通じて穏やかな海洋性の気候。年間降水量は1,600mmを超えるほど雨の多い土地ですが、水はけのよい花崗岩質の土壌が、この湿潤な気候の中でも上質なぶどうを育ててきました。
このエリアで栽培されるぶどうの9割以上を占めるのが、ガリシアの誇る白ぶどう品種アルバリーニョ。潮風を浴びながら育つことから「海のワイン」とも呼ばれ、キリッとした酸とミネラル感、そして魚介との相性のよさで知られています。フィジャボアが畑を構えるのは、そのリアス・バイシャスの中でも内陸寄り、ミーニョ川沿いの一帯。海からの風と、川がもたらす独自の小気候(マイクロクライメート)が重なる、この土地ならではの表情を持つエリアです。
フィンカ・フィジャボアという場所
フィジャボアという名前は、ガリシア語で「良き娘」という意味を持っています。地元に伝わる言い伝えによれば、かつてサルバテラ伯爵が、自分を大切に世話してくれた末娘に、この土地を「良き娘(フィジャボア)」として遺したことに由来するのだそうです。ポンテベドラ県の中でも最大級、ガリシアで最も歴史の古いワイン用地のひとつとされ、テア川とミーニョ川という2つの川に南側を囲まれた、緑豊かな丘陵地に広がっています。畑の入口には、ローマ時代にこの地でぶどう栽培が始まったことを物語る、ロマネスク様式の橋が今も残っています。
フィジャボアは現在、リオハやカスティーリャ・イ・レオンなど各地に蔵を持つ「マサベウ・ボデガス」というワイングループの一員。歴史ある邸宅(パソ)と礼拝堂を敷地内に構え、ワイン造りと同時に、この土地の景観そのものを大切に受け継いでいます。
畑と醸造について
フィンカ・モンテ・アルトは、フィジャボアの畑の中でもとりわけ特別な区画。標高約150m、ミーニョ川のすぐそばに広がる、わずか6ヘクタールの畑です。小石を多く含む砂質の土壌と、垣根仕立てで大切に育てられたぶどうの中から、いちばん良いものだけを選んで仕込んでいます。
発酵は温度をしっかり管理しながら、蔵に棲みついた自生の酵母でゆっくりと進めます。そのあとはステンレスタンクの中で澱と静かに寄り添わせる時間。通常でも12ヶ月はこの状態を保ちますが、この2020年はさらに長く、澱とともに丸2年を過ごしてから瓶詰めされました。この「時間のかけ方」が、味わいに複雑さとまろやかさを与えてくれています。
フィジャボアという生産者について
フィジャボアという生産者について
ガリシアでリアス・バイシャスの認証を持ちながら、スペインの優れたテロワールを代表する生産者だけが名を連ねる協会「グランデス・パゴス・デ・エスパーニャ」に加盟する唯一の存在——それがフィジャボアです。畑一枚一枚の個性に向き合う姿勢と、歴史ある土地を守り続ける誇りが、このモンテ・アルトという一本にしっかりと映し出されています。
その実力を裏付けるように、フィジャボアの最上位キュヴェ「ラ・フィジャボア 1898」(2016年ヴィンテージ)は、スペインで最も権威あるワイン評価誌のひとつ「ギア・ペニン2025」において、満点となる100点を獲得しました。審査対象となった9,800本以上のワインの中で、100点を獲得したのはわずか8本、白ワインに限れば3本のみという快挙です。アルバリーニョ100%、最低6年間澱とともに熟成させるこの特別な一本が、フィジャボアという生産者の技術と哲学の高さを何より雄弁に物語っています。
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